デジタルマルチメータ(DMM)測定ガイド|お客様サポート|共立電気計器株式会社

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デジタルマルチメータ(DMM)測定ガイド

目次
  1. マルチメータとは
  2. 使用用途
  3. DMMの種類
  4. 測定機能
    電圧測定
    電流測定
    抵抗測定
    導通チェック
    ダイオードテスト
    キャパシタンス測定
    周波数測定
    デューティ比
  5. DMMセレクションガイド

1.マルチメータとは

マルチメータは1台で複数の電気の基本要素(電流・電圧・抵抗など)を計測することができる電気計測器です(測定要素は機種によって異なります)。マルチには「多様」や「複合」といった意味があり「マルチメータ」という名前が付けられています。
一般的には「テスター」、「回路計」とも呼ばれます。

マルチメータには、指針が示した値を読み取るアナログタイプと、数値で表示するデジタルタイプがあります。アナログタイプはメータの反応が早いので直感的な判断に適しています。一方、デジタルタイプはアナログタイプに比べ確度と分解能が高く、デジタル表示のため読み取り誤差が少ないなどの点で優れています。ここではデジタルマルチメータに絞って説明します。(以下デジタルマルチメータをDMMと表記)

2.使用用途

DMMは、交流電圧(ACV)、直流電圧(DCV)、交流電流(ACA)、直流電流(DCA)、抵抗(Ω)、周波数(Hz)、導通チェック、ダイオードテスト、バッテリーテスト、容量(キャパシタンス)、温度等が測定でき、趣味から研究までさまざまな場面で活躍します。

【使用用途の例】

  • 模型工作などの趣味
  • 学校の理科や技術の授業
  • 電気工事や電気設備の保守点検
  • 電化製品・機械・自動車の製造や点検
  • 工場・研究所

3.DMMの種類

DMMには小型で持ち運びのできるハンドヘルドタイプと大型で据え置き型のベンチトップタイプがあります。

【弊社のハンドヘルドタイプ例】

携帯に便利な小型 ポケットサイズのカード型 使い勝手の良いペン型
KEW 1021R
    
KEW 1019R

KEW 1030



4.測定機能

①電圧測定
DMMの基本的な機能の1つが電圧の測定です。カード型のような簡易的なタイプも含め、DMMでは電圧の直流と交流それぞれの測定が可能です。
電圧の測定は測定対象に対して並列に接続し、測定します。
※複数のレンジを持つDMMの場合、未知の測定対象物の電圧を測定する際には安全を考慮し、まずは最大のレンジに設定して測定を行う必要があります。これは後述する電流値の測定においても同様です。

測定範囲は数mV~数百Vまであり、DMMのサイズが大きくなるほど測定上限値が高くなります。測定下限値については、交流電圧よりも直流電圧の方がより小さな値まで正確に測定できる傾向にあります。

交流電圧の波形には正弦波と非正弦波(鋸波、方形波、リップルなど)があります。非正弦波は、インバータ制御等の省エネルギー設備により高調波成分を含んだ回路等において見られます。DMMはこのような波形のRMS(実効値)を表示することができます。このRMSは、交流電圧を有効直流電圧で表したもの、つまり等価エネルギーをもつ直流電圧で表したものです。これらの波形を測定する場合、DMMの測定方式は“平均値応答”と“True-RMS(真の実効値)”の大きく2つに分かれます。“平均値応答”と呼ばれる方式では、交流電圧信号が純粋な正弦波であれば正確な実効値を表示します。しかし、非正弦波の場合は正確な測定を行うことができません。これに対して“True-RMS(真の実効値)”と呼ばれる方式は波形に関係なく正しいRMSを表示することができます。

非正弦波の測定において“クレストファクタ”という値も注意する必要があります。波高率ともいい、「交流波形の最大値÷実効値」で表されます。この値は、測定したい信号が入力レンジの何倍の入力まで正確に測定できるかを表します。真の実効値タイプのDMMにおいても、波形が急しゅんなパルスを測定した場合、実効値が低くても最大値が非常に大きくなり、内部の回路の最大動作範囲をオーバーし測定誤差が大きくなることがあります。このような波形に対して、どのくらいまで測定可能かを示した値がクレストファクタとなります。ちなみに正弦波の場合は1.414、方形波の場合は1.00となります。(下表)

また電圧測定における重要な項目として、“入力インピーダンス”があります。これはDMMが測定器内部に持っている抵抗の大きさのことで、電圧測定の場合、この値が低いと測定誤差が大きくなり、逆に高くなるほど正確な電圧値が測定できます。DMMでも特に高精度が求められるベンチトップタイプなどでは、この入力インピーダンスが10 GΩ以上といったものもありますが、ハンドヘルドタイプは10 MΩくらいが標準です。

なお、厳密にいうと“入力インピーダンス”という言葉は交流のときに使用され、直流のときは“入力抵抗”と呼びます。“抵抗”と“インピーダンス”の表す内容が違いますが、大筋ではどちらも同じ意味合いの抵抗値を表すものなので、カタログ等では「直流:入力抵抗、交流:入力インピーダンス」などと区別せず、「入力インピーダンス」という言葉で統一して表現している場合が多いです。

②電流測定
電流の測定は電圧測定や抵抗測定と異なり、DMMを測定物に対して並列ではなく直列に接続します。そのため、ほとんどのDMMには電流測定専用の端子があります。
さらに電流測定専用の端子が小電流用(μA/mA)と大電流用(A)に分かれている場合もあり、測定する電流値に応じて端子を使い分ける必要があります。μA/mA端子の場合、最大測定値は数百mA程度です。測定する電流値が予測できない場合は、まずは大電流用端子に接続し測定を行います。
※複数のレンジを持つDMMの場合、未知の測定対象物を測定する際には安全を考慮し、まずは最大のレンジに設定して測定を行う必要があります。これは電圧値の測定においても同様です。



電流測定端子に測定コードを接続したまま電圧を測定した場合、DMMが破損したり、使用者が怪我をしたりする恐れがあります。これは電流測定端子の入力インピーダンスが電圧測定時とは逆に小さくなっているため、DMMに過大電流が流れてしまうためです。通常は保護機能として、電流端子にはヒューズが内蔵されています。また、最近のDMMでは電流測定ファンクションに設定した場合のみ、電流測定端子が使用できるような端子シャッター付きタイプのものもあります。

小型のDMMでは電流測定時における保護に対応することが難しく、カード型タイプのDMMの多くは電流測定機能がありません。通常のハンドヘルドタイプにおいても、安全面を考慮し、あえて電流測定機能を外し電圧測定に特化したタイプもあります。



電流測定については、クランプセンサを使用するタイプのものもあります。クランプセンサは電圧測定端子に接続するタイプや、DMMと一体となったタイプなどが存在します。クランプセンサを使用する場合、微小な電流の測定は難しくなりますが、DMMを測定物に対して直列に接続する必要がなく、測定が簡易となり安全性も高くなります。

クランプセンサ一体型DMMによる負荷チェックの一例を示します。
これは、通電状態で、分岐ブレーカの電流をチェック、各分岐回路の負荷が適切であるかどうかを簡単に確認することができます。










③抵抗測定
抵抗の測定は測定対象に対して並列に接続し、測定します。
抵抗値には、接触抵抗の数mΩから絶縁体のGΩまで幅広いばらつきがあり、DMMで測定可能な抵抗上限値は数十MΩ程度、下限値についてはハンドヘルドタイプで0.1 Ω程度、ベンチトップタイプで1 mΩ程度となっています。
抵抗を測定する際には感電の危険を避けるため、電圧のかかっている回路では測定してはいけません。
低い抵抗値を測定する場合、測定コードの抵抗値(0.20.5 Ω程度)が影響します。“相対値表示機能”が付いているDMMでは、測定コードの先をショートして、その抵抗分をあらかじめ測定し、その影響を除くことができます。“相対値表示”は、“ゼロ調整”、“Null”、“リラティブ”、“REL”等で表記されます。
また低い抵抗値を測定するために、4端子抵抗測定があります。ベンチトップタイプに多く採用されている機能で、名前の通り4つの端子を使用して抵抗を測定します。2つの端子から測定する抵抗に電流を流し、残りの2つの端子でそこに発生する電圧を測定します。

この測定方法により、1 mΩレベルの低い抵抗値を正確に測定することが可能となります。
ほかにもローパワー抵抗(LP-Ω)測定機能があります。抵抗測定時には一般的にDMMから測定物に対して電流を流すことにより抵抗値を測定していますが、LP-Ωはその測定電流を小さく設定した機能です。測定電流を小さくすることにより測定物にかかる電圧が低くなり、ダイオードや半導体のジャンクションで分離されている抵抗の値を測定することが可能となります。そのためプリント基板に搭載されている部品の抵抗値を、ハンダ付けを外さなくても測定することができます。ただし、測定電流を通常よりも小さくするために、測定可能な抵抗値の範囲が通常よりも狭くなります。

④導通チェック
導通チェックは、測定物がショート状態かオープン状態かを簡易的にチェックできる測定です。
一般的に数十Ω以下でブザーが鳴動するようになっており、測定中にDMMの表示部を見る必要がないため短時間で何度も繰り返し測定ができます。ブザー鳴動機能があるため、ほとんどのDMMで導通チェックのファンクションはブザーマークで表示されています。

⑤ダイオードテスト
ダイオードテストは、ダイオードの順方向電圧の測定やダイオードの正常判定のチェックに使用します。
順方向電圧の測定には、+端子(赤色のコード)をアノード側、COM端子(黒色の測定コード)をカソード側に接続します。一般的なダイオードの場合0.5 V程度、発光ダイオードの場合は1.52.0 V程度を表示します。また、この接続を逆にした場合、導通がない表示(オーバー表示など)となり、ダイオードが正常であることを示しています。

⑥キャパシタンス測定
キャパシタンスとは、静電容量とも呼ばれ、コンデンサがどのくらいの電気を蓄えられるかを表す量のことです。
実際にはマルチメータより電気を出力し、コンデンサに電気を溜めて測定します。一部のマルチメータには測定できる機能が付いており、単位はファラド(F)で表されます。

⑦周波数測定
周波数は、1秒間に流れる電気の向きが変化する回数のことです。
交流電源の場合、時間とともに電気の大きさが波のように大きくなったり小さくなったり変化を繰り返し、方向も変わります。その1秒間における波の繰り返しを周波数と呼びます。この周波数を測定するのが周波数測定です。単位はヘルツ(Hz)で表されます。
なお、日本で使われている電気は東日本エリアが50Hz、西日本エリアが60Hzとなります。

⑧デューティ比
デューティー比は、矩形(くけい)波の1周期に対する高い波形の割合を示した値でパルスとも呼ばれます。単位はパーセント(%)で表示されます。
パルスは信号の測定、または信号を出力して何かを制御する目的に使用されています。
一般的に、ステッピングモータやサーボモータといったモータ類の駆動をパルス信号にて制御しています。

5.DMMセレクションガイド

市場には様々な機能を有したDMMが販売されていますので、DMMを選ぶ際には注意が必要です。

一般に私たちが使用している交流電源には、雷あるいは容量性・誘導性負荷の開閉によって過渡的な過電圧が生じる可能性があります。その過渡過電圧から保護出来るように設計されている安全性能を測定カテゴリと対地電圧で表記しています。(詳しくはこちら
どの測定カテゴリに適合したDMMであるかは測定時の安全を守るうえで非常に重要です。

また、測定範囲の判断例ですが、交流電圧レンジの周波数特性に関してインバータ回路等の場合、周波数の高い電圧を発生している現場も少なくありません。この様な場合、一般的なカード型DMMでは、周波数範囲が狭く(1kHz以下)交流電圧を検知できないことがありえます。 

さらに、性能面では、確度や分解能による違いも見逃せません。
数Vといったおおよその測定値を表示するものから、0.00001 Vと小数点以下5桁や6桁まで正確に測定できるものまでさまざまです。

どのような現場(測定カテゴリ)でどのくらいの確度が求められているか等の使用条件を正しく把握し、用途・目的に応じた性能、機能を有しているDMMをご選択ください。

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